【美容師が解説】シャンプーの泡立ちが悪い理由と良くする方法

 

 

監修美容師

  • 熊倉祐介

シャンプーの泡立ちがイマイチ

シャンプーをする際には、しっかりと泡立ててから洗いたいという人が多いはずです。その方が洗った気持ちになりやすく、すっきり感も増すものです。しかしながら、イマイチ上手く泡立たず、気持ち良く洗えないこともあるのではないでしょうか。泡立ちをもっと良くするためにはどうしたら良いのか、今回はそんな疑問に焦点をあてていきたいと思います。

 

 

シャンプーは泡立てた方がいいの?

泡立てるメリットのひとつは、髪や頭皮への負担を減らせることです。よく、肌は摩擦に弱いと言われていますが、それは髪の毛、頭皮などにも同じことが言えます。泡を十分に作ってから洗うことで、余計な負担を減らすことができるのです。
さらに、泡立てることで、少量でも洗えるようになります。原液のままだと十分に洗うことが難しい量でも、モコモコの泡を作ると体積が増えより広い面積を効率的に洗えます。また、汚れを落とす役割のある洗浄成分はそのままでは皮膚刺激性が強い場合もありますが、泡立てることで皮膚に接触する洗浄成分の濃度が低くなるため、そうした刺激を軽減できるのです。したがって基本的には泡を作ってから洗い始めた方が安心と言えます。

 

 

シャンプーの泡立ちが悪い原因

 

(1)予洗いができていない

泡立ちが良くない場合、予洗いを取り入れてみるのがおすすめです。予洗いというのは、シャンプーをする前にお湯だけで洗う作業のことを指しますが、事前に洗っておかないと泡立ちが悪くなることがあるのです。上手に泡を作るには髪全体をよく濡らし、お湯やシャンプー剤の通り道を作ることも必要であり、その役割を担っているのが予洗いと言えます。
予洗いの際には、2~3分を目安に洗うのが良いでしょう。この時、指の腹を使って頭皮全体をマッサージするような感覚で洗うことで汚れを落としやすくできますので、意識しながら洗うのがおすすめです。

 

(2)シャンプー剤が少ない

そもそものシャンプー使用量が少ないことも原因のひとつです。1回分の量はワンプッシュが適量と言われていますが、髪の長さや量によっては不足することがあります。その場合は適宜、量を増やして洗うようにすることで、モコモコの泡を作りやすくなるはずです。
ただ、一度に大量に使用することは良くありません。そこまで沢山使わずとも十分に洗うことはできますので、自分の毛髪量、皮脂汚れの具合と相談をしながら適した量を見極めることが大切です。沢山使用をすればそれだけ早くシャンプーも消費してしまいます。無用なコスト増を生まないためにも、考えながら量を調整するのがおすすめです。

 

(3)スタイリング剤

普段からスタイリング剤をよく利用するという人も多いかと思われますが、これもまた泡立ちを悪くする原因です。成分にはシリコンや油分などが含まれており、こういった成分の影響によって泡立ちが悪くなってしまいます。
スタイリング剤を使用している場合は、予洗いで十分に汚れを落としておくことが大切です。それから本格的に洗い作業に入ることで、しっかり泡立つようになります。また、必要に応じて2度洗いをすることで、汚れを落としやすくなるため、ぬめりやベタつきなどの不快感が残っている場合は、適宜洗い方を変えていきましょう。

 

(4)長期間お風呂に入っていない

長期間お風呂に入っていないのも、ひとつの原因として考えられます。長く頭を洗っていない場合、頭皮にはそれだけ汚れが蓄積しています。皮脂や垢などが多い状態となりますが、こういった汚れの存在がシャンプーの泡立ちを妨害してしまうのです。
特に頭皮というのは体の中でも汚れやすい場所です。毛穴が多く、皮脂分泌が活発なところでもあるため、2~3日洗わずにいるだけでも汚れ具合は大きくなってしまいます。その場合は2度洗いをするなどしないと、汚れが十分に落ちません。頭皮は毎日汚れるため、日々洗浄を行うことが大切と言えます。

美容師ワンポイントアドバイス

熊倉
一日に何度もシャンプーをしてしまうと、頭皮に本来必要な油分まで洗い流してしまい乾燥を引き起こす可能性があります。また、頭皮の油分が不足していると脳が判断すると、過剰に皮脂を分泌しはじめるため、悪循環に陥る場合があります。どんなに皮脂の分泌が多い人でもシャンプーは一日2回を限度にすることをおすすめします。

 

(5)シャンプーの種類

使用しているシャンプー自体にも理由が隠れていることがあります。例えば、アミノ酸系の界面活性剤が用いられているものは頭皮や髪に優しいという特徴がある一方、泡立ちはあまりよくない傾向があるのです。そのため、洗った感覚が薄いと感じられることも多く、泡立ちが良いタイプから切り替えた場合は違和感を覚えやすいと言えます。
他にも、そもそも泡立たないタイプの製品もあります。いわゆるクリーム系シャンプーの場合は、泡立ち成分の合成界面活性剤が含まれていませんので、こういったタイプの場合は泡を作れません。

 

(6)髪をしっかり濡らせていない

髪を十分に濡らしてから洗うことで、たっぷりの泡を立てられます。しかし、逆に髪があまり濡れていない場合は泡を作りにくくなります。泡立ち成分を上手く溶かすことができませんので、原液に近い状態で洗う羽目になってしまうのです。その場合、泡ができにくいだけでなく、髪や頭皮へのダメージも増しやすくなりますので気を付けなければいけません。
泡を作るにはよく髪を濡らしておくことが大切ですが、予洗いを心掛ければ自然と泡が作れるはずです。もしそれでも泡ができにくい場合は、シャンプーに少量のお湯を足してみるのも良いかもしれません。

 

(7)髪の量

髪の量が多い人も泡立ちが良くないと感じやすいです。量が多いことで毛束となりがちで、中に上手く空気が入っていかないのが理由と言えます。しかし、しっかりと空気を入れてから洗い始めることで、モコモコの泡を作り出せます。
量が多くて泡ができない場合は、事前にしっかりと濡らしておくのがポイントです。空気が入りやすくなると共に、お湯やシャンプーの通り道も作れます。なお、髪の量が多い人は汚れ具合もそれだけ増してしまうことが考えられます。予洗いによって汚れを落とさないと、それもまた泡立ちの悪さを引き起こすため、先んじて十分に汚れを落としておくことが望ましいです。

 

(8)髪質の影響

乾燥やダメージによって髪が傷んでいる場合も泡ができにくいです。コンディションの良くない髪質ですとキューティクルが開いた状態となります>。すると、水分やシャンプー剤を吸収しやすくなってしまうため、上手く泡を作ることができなくなるのです。
この場合は髪質を改善していくことが大切です。トリートメントなどでしっかりとケアを行うことはもちろんのこと、頭皮ケアも行いコンディションを整えていく必要があります。また、乾燥などを引き起こすのは、普段の髪の扱い方に原因が隠れていることが多く、特にカラーやパーマなどを頻繁に行う人は注意しなければいけません。

 

 

シャンプーの種類について

 

(1)高級アルコール系

市販のシャンプーの中でも、特に多いのが高級アルコール系の製品です。特徴は洗浄力に優れていることです。少量でも汚れを効率的に落とすことが可能で、スタイリング剤をよく使用する人からも好まれています。泡立ちも良く、すっきりと洗えた感覚が生まれやすいのも魅力です。
ただ、洗浄力が高すぎるという短所もあり、髪と頭皮の油分を奪い過ぎてしまうため、乾燥気味になりがちな面も否めません。また、頭皮への刺激にもなり得るため、使用後に違和感がある場合は注意が必要です。特に乾燥肌や敏感肌の人ですと影響を受けやすいと言えます。

 

(2)石鹸系

石鹸系は、動物性や植物性の油脂を、アルカリで反応させた界面活性剤を含めたシャンプーです。いわゆる無添加製品が多く、添加物を気にするユーザーから支持されています。洗浄力も高めで、皮脂汚れなどをしっかりと落とすことが可能です。泡も簡単に作れる物も多いため、豊かな泡を使ってシャンプーができます。
しかしながら洗浄力が高いことで皮脂が奪われ過ぎてしまう短所もあります。頭皮が乾燥気味などの場合は注意が必要で、人を選ぶシャンプー剤です。また、シャンプー後はアルカリ性に髪が傾くため、中和をしないとキューティクルが開きやすくなります。

 

(3)アミノ酸系

アミノ酸系シャンプーは、アミノ酸系洗浄成分を含めているのが特徴です。髪と頭皮への負担になりにくく、低刺激で洗えるとして人気があります。頭皮が弱い人でも使いやすいため、乾燥肌などのデリケートな地肌の人からもよく選ばれています
洗浄力が低めゆえに刺激も弱いのですが、この特徴はデメリットにもなり得るのです。汚れを十分に落とせなかったり、すっきり感がなかったりなど、物足りなさを感じられることも少なくありません。しかし2度洗いをすることで洗浄効果を高めることもできますので、使い方次第で短所を埋めることも可能です。

 

 

シャンプーの泡立ちを良くする方法

 

(1)しっかり予洗い

泡立ちを高めるには、基本の予洗いをしっかりと行うことが欠かせません。いきなりシャンプーを付けて洗い始めてしまうと、水分が足りなかったり、汚れの影響を受けたりで、上手く泡を作れなくなってしまうのです。下準備として予洗いをすることで格段に泡の量が違ってきます。
なお、予洗いの際には頭皮の汚れを中心に落としていくようにしましょう。ついつい髪の汚れに集中してしまいがちですが、髪の汚れは容易に落とせます。一方、頭皮にこびり付いた皮脂汚れなどは丁寧に洗わないと落ちにくく、残ったままですと泡も上手く作れません。

 

(2)正しい量を使う

適切な量を出してシャンプーをするのも鉄則です。髪のボリュームに対して使用量が少ないと、泡を作りにくく、洗いづらさにも繋がってしまいます。基本はワンプッシュ程度ではあるものの、髪の量を踏まえて加減を調整することも必要です
ただ、だからといって過剰な使用量になるのは良くありません。泡立ち良くなるかもしれませんが、髪と頭皮へのダメージになってしまう恐れもあります。泡立ちが悪いのは、予洗いが不足しているのが理由の場合もあるため、やたらに量を多くして対処するのではなく、まずは洗い方の基本ができているのかを見直してみることも大切です。

 

(3)手のひらで泡立てる

上手に頭を洗うには、手の平でシャンプー剤を泡立てておくのもポイントです。十分に泡立っていない状態で頭に付けてしまうと、全体に上手く行きわたらなくなりますので、結果的に泡が立ちにくくなるのです。先に手の平で泡を作ってから、それを乗せて洗うようにすれば、スムーズに全体へ広げていくことができます。
また、泡を作っておくことで、髪と頭皮へのダメージを軽減できるメリットもあります。頭に付けてから泡立てようとすると、そこで摩擦が生じてダメージになってしまうのです。髪と頭皮の健康を守るという意味でも、泡を先に作ってから洗い始めるのが理想的です。

 

 

シャンプーの泡立ちを意識する際に注意すること

いくつかあるシャンプーの種類の中でも、特に泡を作りやすいのが高級アルコール系の製品です。いともたやすくモコモコの泡ができるため、こうした使い勝手の良さを好む人も少なくありません。
しかしながら、高級アルコール系の物は刺激が強めという短所があることを、理解しておくことが大切です。高い洗浄力はメリットではあるものの、それゆえに髪と頭皮のダメージを引き起こす恐れがあるのです。そのため乾燥肌や敏感肌、その他髪の悩みを抱えている人は慎重に選ぶことをおすすめします。

 

 

まとめ

シャンプーの泡立ちが悪く感じる場合は、ここで紹介してきたことを踏まえながら洗ってみることをおすすめします。ちょっとした心掛けで毎日のシャンプーの質も違ってくるはずです。また、髪と頭皮への負担を減らすためにも正しい洗い方が求められます。シャンプーは基本的に毎日行う作業であり、日々のケアをきちんと行えば、髪のコンディションも違ってくるはずです。必要に応じてシャンプー剤そのものを見直すことも大切ですので、ヘアケアの心得として押さえておきましょう。